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いつからだろう
俺が笑うようになったのは
いつから、だっただろう
雲ひとつない青空が広がっている。
気持ちのいい風が駆け抜けていった。なんとも昼寝向きな天気だ。
風にのって近くの高校からボールを打つ音や何かを一生懸命に叫ぶ声が聞こえる。
…確か今日は日曜だったはずだが…。
どうやら部活動に休日は関係ないようだ。
「…と、十二支高校…ここか?」
一人の少年が十二支高校とかかれた正門の前で立ち止まる。
少年はやっとついたか…とつぶやいてため息をついた。短めに切った漆黒の髪がゆれる。
この町に帰ってくるのもずいぶんと久しぶりの事。
「さて…あの人はグランドにいるかな…。」
そう言うと持っていた帽子を目深にかぶり、野球部の活動しているグランドに足を向けた。
「くぉらーーー!そこのガングロ犬!!この俺のどこがバカだとーー!!?」
「とりあえず…全部?(プ)」
「こっ、この偽ジュノンボーイが〜〜〜!!!」
「やるか、バカザル」
バチバチバチバチ!!
十二支高校野球部ではいつものように猿野と犬飼の攻防戦が繰り広げられていた。
「さ、猿野くん、落ち着いてくださいっす〜!」
「犬飼君もクールダウンしてください」
そしていつものように子津と辰羅川の手によって止められる。
「あはははは、お猿の兄ちゃん達またやってるよ〜」
「……?」
ふと司馬がベンチのほうを見て不思議そうに首をかしげた。
「なになに?どうしたのシバくん」
ぴょいっと司馬の背中に飛びのって同じようにベンチを見る。
羊谷が主将に何かを頼み込んでいるようだ。
「もしかしてまたお金貸してくれとか言ってるのかなー?確かめてこよーっと♪」
「……!?(フルフル)」
走り出した兎丸を司馬が止めようとするが時すでに遅く、ズギャン!という効果音を残して
兎丸は走り去っていってしまった。
司馬がその後を慌てて追う。
「頼むっ!昨日パチンコですっちまってピンチなんだ!!」
「…監督。確か、先週もそんな事を言っていたような気がしますが…」
ギクッ
そんな音が似合いそうな表情をした羊谷に、牛尾は苦笑する。
「あ〜!やっぱりお金貸してもらってる!!ね、シバくん、予想的中だったね♪」
「…(汗)」
どこか嬉しそうにした兎丸と、困ったようにした司馬が走ってくるのを見つけて、
牛尾が主将オーラ全開で微笑みかけた。
「やあ、兎丸君に司馬君。どうしたんだい?」
「監督が主将に何か頼んでたから、またお金関係だろうと思って確かめにきました〜!」
「……(おろおろ)」
「で、司馬君はそれを止めようとしてやって来た…というわけだね。」
「……(こくり)」
「…お前ら…俺を何だと思ってるんだ…?」
何か頼み事してたら金関係だって思われる俺っていったい…いや実際そうなんだが。
どこかげんなりしたようすで羊谷がつぶやく。
「ははは。そんなことより監督、これぐらいで足りますか?」
「(何だか体よくかわされた気がするが…)あ、ああ。悪…」
「動くな」
ガチャリ
「!?」
悪いな、と言って受け取ろうとした途端、なぜか後頭部に硬いものが押し付けられる感触。
それも『動くな』なんていうお決まりのセリフと同時に。しかも、さっきのガチャリって音は…。
(おいおいおい…まさかこの後ろ頭に押し付けられてるのは…)
羊谷の背中をいやーな汗が流れ落ちる。
目の前の牛尾たちが自分の背後に目線を向けたまま硬直しているのに、さらに嫌な予感を覚えた。
異変に気づいたらしいほかの部員も集まってくる。左から猿野、子津、犬飼、辰羅川…
少し遅れて虎鉄、猪里、蛇神、鹿目…etc.
彼らもこの光景に硬直していているようだ。
(お前ら…見てねーで助けやがれ…)
と、不意に背後にいる人物が口を開く。
「やあ…俺の目の前で、部員からお金巻き上げようとするなんて、…いい度胸だな。
羊谷遊人…さん?」
「ま、待て。お前誰だよ。何で俺の名前を…」
「………」
黙秘権か?
はあ、と小さくため息をつくのが聞こえた。
(くそっ。ため息つきたいのはこっちだぜ…。)
「そう、だな。じゃあ、俺が誰か当ててみて。」
「あぁ?ヒントも無しでか?」
そう言うとふと考え込むような気配がした。
「ヒント…?あ〜…昔、会ったことあるよ。」
「昔なぁ…何年くらい前だよ。」
「………50年?」
ほー50年前か…・って!!
「俺生まれてねーじゃねーか!!」
どんなじいさんだ俺は!?
背後の人物はくすくす笑い、
「あ、バレた?」
「あたり前だっ!」
そのツッコミが可笑しかったのかどうなのかは知らないが、さらにくすくす笑う。
「…………」
こいつ…人をおちょくりやがって…
こっちは命がかかってるかもしれないってのに。
とにかく落ち着こうとして煙草を取り出し、火をつける。
それを見て背後の気配が少したじろいだのを感じた。
(…なんだ?)
問いただそうとする前に向こうが先に口を開く。
「煙草、体に悪いですよ?」
それがあまりに心配そうな響きを含んでいたので、つい自分がとらわれている状態だと
いうことを忘れて少し苦笑した。
「ほっとけや。」
まさかな、と思いつつ煙草を少し吸い込んでフー、と煙を吐く。
そういえば…別にこいつの持ってる武器がアレだとは限らないのだから、
反撃も出来るんじゃないだろうか。
そう思い、近くに突っ立ている動くに動けないらしい牛尾のほうを見る。
「……主将。」
「はい。なんですか?」
こんな時でも律儀に返してくるあたりがこいつらしいといえばこいつらしい。
「あのな…俺の後ろ頭あたってるやつなんだが…」
すると牛尾は弱々しく微笑んで、
「…はい。たぶん、監督のお察しの通りだと思います。」
「………アレか?」
「…………アレです。」
アレ。
ヤクザがよくどんぱちやらかす時に使う、黒光りしたブツ。
通称チャカ。
ああおめでとう俺の勘。
まったくいつもながら鋭いね。
「…って、こんな事であたっても嬉かねーわな…」
ハハハ、と乾いた笑いを漏らす。
(こりゃあ、本格的に当てにいかねーと…)
とりあえず思い浮かんだ人物を次々言っていくことにした。
「あー、と。近所に住んでた花屋の息子…とか?」
「いや、違うよ。」
「じゃあ…昔酔っ払って足払いかけた兄ちゃんか?」
「………違うけど…」
「じゃ、じゃあパチンコですっちまって荒れてた時に隣にいたやつか?」
いやー、あの時は悪かった。腹いせに肩がくがく揺さぶっちまって…気分悪そーにしてたもんな〜。
背後の人物が黙り込む。
「お、アタリか?」
「………や、ハズレ」
心底呆れたような口調に聞こえるのは気のせいか?
心なしか他の部員も呆れた顔をしているような…。
ハァ―――――〜、と特大のため息が聞こえてきた。
と、同時にバサリ、と帽子を脱ぐような音がする。
「―――――――っ!?」
なぜか息をのむ牛尾。と一様に驚いたような表情をしている部員達。
子供…?と言う声が聞こえた気がした。
(……?子供?)
「………わかりませんか?」
いぶかしんでいると、背後から少し苦笑しているような声音が聞こえてきた。
「わからんな。」
ヒントがあれだけってのには無理があるぜ?
それを聞いて少し黙り込んだあと、ふいにポツリと、
「………………決定的なのは11年くらい前、だな」
…11年前?
「それが、どう……」
言いかけてはっとする。
11年前、なにがあった…?
忘れたわけじゃない。
忘れられるもんか。
…忘れたくても、忘れられないに決まっている。
「まさか、お前…」
あいつは今ここにはいないはずだ。
日本には……
まだ色鮮やかに脳裏に刻み込まれている、光景。
11年前のあの日、遺産相続がどうの、資産がどうのと
くだらない言い合いをしている親戚達の前に
ただ一人呆然とたたずんでいた少年…。
涙を流していなくても、泣いているのがわかった。
見てる方が悲しくなるような―――――蒼い瞳
「、か!?」
思わずバッと振り返ると、あの時よりも成長して見違えるように大きくなった少年が
微笑んでいた。
あの時からは想像もつかないくらいやわらかい笑顔で。
は降参、というポーズを取ると、
「ビンゴ。どうも、お久しぶりです…遊人さん。」
「お、お前…いつイギリスからこっちに戻ってきたんだよ!」
まったく大きくなりやがって。
声変わりもしたか?
ニカッと笑ってぐしゃぐしゃとその癖のない髪をかきまわす。
「は、半年くらい前…」
「水くせぇなー、何で連絡しなかったんだよ!!」
ぅおりゃ!とばかりにチョークスリーパーをかけると、腕の中のがじたばたと抵抗する。
「く、くるし…っ!!ごめん!ごめんって!!忙しすぎて出来なかったんだよ」
「ほぉーぅ、連絡する暇もないほど、何してたんだよ、と」
「うわ―――!ギブギブ!!」
「あ、あの、監督…」
久しぶりに会った嬉しさからとじゃれて(というか一方的に締め上げて)いると、
横からためらいがちな声が聞こえてきた。
腕の中のはそのままにして、ん?とそちらのほうを見るとやや戸惑っているらしい牛尾が目に入る。
他の部員達も驚いているようだ。
そりゃそうだ。
今まで一触即発、みたいな雰囲気だったくせに、いきなりその犯人と仲良くたわむれだしたんだから。
「あー、悪い悪い。こいつはな…」
「ダメ〜〜〜〜!!!監督を殺さないでーーー!!!」
「………!?」
ドカッ!…ズシャ
どこか必死な声とともにものすごいスピードで走ってきた兎丸がまだ羊谷の腕の中にいたにタックルする。
当然その反動では地面に倒れこむ。
「と、兎丸君…」
困ったように牛尾が呟いた。
なにしろ目の前では目に涙をためた兎丸がを突き飛ばした上、全体重をかけて押し倒している、
という状況が出来上がっているのだから…。
あれは……痛そうだ…。
羊谷がはぁ〜とため息をついて、
「おい兎丸、状況をよく見ろ。俺はもう開放されてるだろう。」
「ヘ…?」
きょとん、として羊谷のほうを見る。
確かに、監督は元気そうだ。
頭に風穴をあけられているわけでも、血がどばどば流れ出ているわけでもない。
ほっとして兎丸はそのままへたり込む。
「な〜んだ、もう騒ぎは収まってたのか〜。僕、監督が殺されちゃうと思って、
全速力で他の先生呼びに走ったのに…」
でも監督が無事でよかったよ〜。
一見涙ぐましい監督と部員の師弟関係(?)に…見えなくもない。
羊谷は苦笑して、
「で、誰か先生はいたのか?見たところ誰も連れてないようだが」
「それが誰もいなくて…こうなったら僕がつっこんでって止めるしかないと思ったから」
「それで全速力で飛び込んできたわけか、兎丸君は」
監督思いなんだね。
牛尾はオーラをキラキラさせつつにっこりと微笑む。
「えへへ…」
「い、いや…あの……そろそろどいてもらわないと、俺、……死ぬ…かも……」
ほわわん、としていた兎丸は、その下から聞こえてきた苦しげな声にはっとした。
そういえば、まだ、……押しつぶしたままだった……
「うわああ!!ご、ごめんね、ごめんね!!」
あわあわしながらの上から下りる。
はちょっと咳き込みながら、
「や、大丈夫大丈夫。標的にされるような事した俺も俺だし…」
倒れたままひらひらと手を振って力なく微笑む。
兎丸に突撃される直前までかけられていたチョークスリーパーが災いしてか、
少し青い顔をしているが…。
と、ひょいっとの体が宙に浮いた。
驚いて上を見あげると青い髪とサングラスが目に入ってくる。
そのままストン、と地面に立たせてくれた。
「…………。」
「えー、と…あ、ありがとう…?」
「……(フルフル)」
がなぜか疑問系で礼を言うと、司馬は無言のまま首をフルフルする。
たぶんどういたしまして、という事なのだろう。
そして今度はくいくい、と袖の端をつかんで引っ張った。
「……?」
「ん…?何?」
「あのね、シバ君が『顔青いけど大丈夫?』だって」
後ろからとまるがぴょこん、とに飛びつきながらそう解説した。
は少し驚きながら、ああ、と笑って、
「おう。大丈夫だよ。ありがとな心配してくれて」
君もね。
そう言って兎丸と司馬の頭をふわふわなでる。
兎丸は嬉しそうにえへへと笑って飛びつき、司馬は顔を赤くして恥ずかしそうに微笑んだ。
「De?監督、結局そいつは誰なんですKa?」
虎鉄がその光景を複雑そうな表情で見ながら、羊谷に兎丸の乱入で途切れていた
説明の続きを促す。
それを聞いた兎丸がぴょこぴょこと手を上げて、
「あ、僕もそれ知りたーい!!」
「…じゃあ、。お前から紹介してやってくれや。」
手短にな。
そう言って羊谷はひらひら手を振ってふー、と煙草の煙を吐く。
はその手から煙草をしゅぴっ、と奪い取って、同じく奪い取ったらしい
シガレットケースに煙草をぐいぐい入れてから、ポイッ、とそれをあっけにとられている
羊谷に投げ返す。
それにいたずらっぽくにやっと笑って『禁煙』と言ってから、
「俺の名前は。…たぶん16歳。現在十二支町に在住。で、羊谷遊人さんは俺の母さんの弟。」
「つまり俺はこいつの叔父にあたるわけだな。ちなみにイギリス帰り…ん?
お前、この町内に住んでるのか…?」
「あー、一応」
ってことは、当分こっちにいるってことだよな…
何だか柄にも無く嬉しくなってぐしゃぐしゃとの髪をかき回した。
やーめーろー!とか言ってたが、気にしない。
「…それよりお前、たぶんて何だ、たぶんて。」
自分の年もわからねえのか?
…ほっとけ!
再びとじゃれていた羊谷だが、ふと部員達が固まっている事に気がつき、
「んー?お前ら、何かたまってるんだ?」
(間)
「「「「っええええええええ〜〜〜〜〜!!!??」」」」
「ぅおっ!!な、なんだなんだ!!?」
突然大声を出した部員達にビクっとする。
まだちょっと混乱気味らしい猿野が、
「ちょ、ちょっと待てやそこのちびっこ!!おまえがヒゲの甥っ子!?」
「ちびじゃねえよ!」
「そうっすよ、猿野君。標準だと思うっす。」
が猿野のちび発言に食って掛かるのをフォローする子津。
「とりあえず…似てないな。」
「そ、そうですね。お父様似なのでしょうか……」
じいーっとを見る犬飼にクイッ、と眼鏡を上げる辰羅川。
「いや…俺は母さんに似てるらしいから…」
は二人にじっと見られて少したじろぐ。
「へえ〜。姉弟でも似てないんだね」
兎丸がまたもふっとに抱きつき、司馬も控えめにのそばによってきた。
と、そこに猿野の爆弾発言。
「似ててたまるか!エロヒゲ似の女なんて見たくねえぞ俺は!!」
羊谷似の女…
つまりレゲエな髪にヒゲがもじゃり。
(いや、ヒゲはないと思うが…)
……………………。
いやな沈黙がそこにいる全員を押し包む。
それを初めに破ったのは虎鉄。
「HAHA〜N。モンキーベイベー、それはさすがの俺も口説きたくないZe〜」
「く、口説く…いやな想像させんとね、虎鉄…」
「…うむ…真也」
「……皆バカなのだ。注目すべきところがずれてきているのだ。」
……ハッ!!!
いつの間にやら『監督の甥』ではなく『監督似の女の人』の事に話題が
すりかわっていることに気がつく。
「いや、…何だか愉快な人たちだな、遊人さん」
「…まあな。(こいつら、あとで絞める!!)」
なにやら黒いオーラの立ち上る監督に苦笑しつつ、牛尾がに問いかける。
「…君、だったかな、どうして監督の甥である君があんな真似を…?」
「…あんな真似、というと…」
これの事ですか?
そう言うとひょい、と右手に持った銃を目線の高さまで持ってくる。
牛尾はちょっと引きつつ、
「そ、そう。それの事だよ。」
は苦笑しながら銃の銃身を撫ぜ、
「これ、本物じゃないから大丈夫だよ。遊人さんに久しぶりに会うから
ちょっとからかってみただけだし。」
「そうだったのか…。」
ほっと安心する一同。
そこへ、
ああ、でも…
と、が付け足す。
「でも、部員からお金を巻き上げてるのを目撃した時はちょっと本気で怒ったけどな。」
そのまますっ、と目を細めて言うに何か危険なものを感じたらしい羊谷が慌てだす。
「あ、いや、あれはだな…」
「違うんだよ、君。あれは僕が自主的にやったことで、別に巻き上げられていたわけでは無いんだ。」
(ナイスだ主将!!)
心の中でぐっと親指と立てる羊谷。
はしばらく牛尾の困ったような笑顔をじっ…と見ていたが、やがて諦めたようにふう、と息をはいて、
「了解、主将。…よかったな。こんな監督思いの部員をもって。」
「お、おう…まあな」
絶対こいつ感づいてやがる!!
ひそかに冷や汗をかく。
「ねぇねぇ、それ触らせてもらってもいい?」
わくわく、といった様子で兎丸が訊ねる。
は少し苦笑して、
「いいよ。はい。」
わ〜い♪と言いながら兎丸が受け取る。
ズッシリ
「………………………、
君。一つ聞いてもいいかな…・?」
「?」
冷や汗をだらだら流している兎丸に不審そうな眼差しを向ける。
「これ………なんか本物みたいに重いんだけど……」
「まあ…そうだろうな…。」
本物と同じ材料で作ったんだし。
「ね、それってさ、………本物って言わない?」
「や、でも俺が設計図見ながら作ったやつだし、弾も出るかわかんないし」
「作った、って…・」
これを!!?
おうよ。
((((((((((((マジかよ))))))))))))
再び唖然とする部員達。
銃を手作りする16歳ってどんなだよ!!
羊谷が微妙な表情で銃を見ていた。
「だから偽物だって。ほら」
そう言うとは兎丸の手から銃を取り、向こうの茂みの方に的を合わせる。
と、
パァン!!ドキュン!チュイン!!
「「「「「「「「「「「……………………………」」」」」」」」」」
明らかに本物の銃声にその場にいた全員が硬直した。
一番初めに我に返ったがポリ、と困った顔で頭をかきながら、
「…あー…何というか…」
大成功?
「大成功?じゃねえよ!!どういうことだちびっこ!」
思いっきり本物じゃねえか!!
「ちびっこって言うな!まさか本当に完成してるとは思わなかったんだよ!!」
そりゃあ一応鉛弾も詰めてたけど!!
「いや、鉛弾ってなんだYo!!」
実は混乱しているらしいの発言に、虎鉄が思わず裏拳でビシイッとつっこむ。
「ぐふっ…バンダナさん、ナイスつっこみ」
よっぽど混乱しているのか、は親指をぐっと立ててふっ、と笑った。
羊谷はそのの慌てぶりを見て低く笑うと、
「まあ落ち着けや、。さっき思い出したんだがな、お前三歳のときにもこれと同じような銃作って
ぶっ放してたぞ」
中身はゴム製の弾が入ってただけだったけどな。
「さ、三歳って…三歳で拳銃作ったって…」
どんなお子様だ一体!!
「ま、そういうこったな。というわけでこれは没収だ。」
自分の知らない過去の出来事にまた混乱しているからひょいっと銃を奪う。
「監督…自分が撃たれそうになっていたというのに、ずいぶんと落ち着いていらっしゃいますね」
いつもの監督なら真っ先に怒りだしそうなものですが。
辰羅川の言葉にニヤ、と笑い、
「もう昔の事とはいえ俺は六年間こいつと一緒にいたんだ。これくらい日常茶飯事だったからな」
「に、日常茶飯事…ですか?それはまたテリブルな…」
「まあ、な」
羊谷はそう言って、ビックリしたよー、と兎丸に飛びつかれているの方を見やる。
そこへ猿野が加わってなにやら自己紹介を始めようだが…
「おらたっつん!自己紹介がまだだっただろうがー!!こっちへこい!!」
「うわわわ!!引っ張らないで下さい、猿野君!」
それになんですかたっつんって!?
ずるずると引きずられていく辰羅川と引きずっていく猿野を見ながら羊谷は苦笑する。
「おーおー。子供は仲良くなるのが早えぇな。」
ふ、とその横顔が真剣なものに変わり、
「あれから、もう11年か…」
ポツリ、とつぶやかれた言葉は誰の耳にも届く事は無く、ぬけるような青い空へと
吸い込まれていった。
next
